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遺産分割協議がまとまらないときは?
家庭裁判所の調停・審判による
解決方法を解説
遺産分割協議がまとまらないときはどうしたらいい?
相続が発生すると、遺言書がない場合には相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がどの財産を相続するかを話し合って決めることになります。しかし実際には、この協議がなかなかまとまらないケースが少なくありません。特に不動産が含まれている場合は分けにくく、相続人の意見が食い違いやすいのです。
ここでは、遺産分割協議がまとまらないときにどうすればよいのか、そして2024年に新設された「相続人申告登記」の制度についても解説します。
協議がまとまらない理由とは?
遺産分割協議が進まない理由はいくつかあります。代表的なものを挙げると次の通りです。
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相続財産の評価額をめぐって意見が合わない
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特定の相続人が連絡を取らない、または協議に参加しない
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被相続人(亡くなった方)との関係性に感情的な対立がある
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不動産を誰が引き継ぐか、売却するかで意見が分かれる
特に不動産は現金のように「均等に分ける」ことが難しく、最終的に「売却して現金化するしかない」と判断されることも多くあります。
話し合いが行き詰まったら「家庭裁判所」へ
相続人全員の合意が得られない場合、最終的な手段として「家庭裁判所の調停・審判」を利用することができます。
まずは「遺産分割調停」を申し立て、調停委員を交えて話し合いを行います。調停でも合意できなかった場合は、裁判官が内容を決める「遺産分割審判」に進む流れです。
裁判所での手続きは時間もかかりますが、法的に決着をつけられる唯一の手段です。どうしても話し合いがまとまらない場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談して、早めに次のステップを検討することが大切です。
協議が長引いても放置は危険
「まだ話し合い中だから」といって何年も放置してしまうと、さまざまな問題が生じます。
たとえば相続人の一人が亡くなれば、その子どもなどが新たに相続人となり、人数が増えてさらに複雑になります。また、相続登記をしないまま長期間経過すると、不動産の名義変更が進まず、売却も活用もできない状態に。
こうした「所有者不明土地問題」は全国的にも大きな課題となっており、法改正によって相続登記の義務化が行われました。
「相続人申告登記」でとりあえず義務を果たすことも可能
2024年4月から、相続によって不動産を取得した場合には、3年以内に相続登記を行うことが義務化されました。ただし、遺産分割協議がまだまとまっていないケースも多いため、その救済措置として設けられたのが「相続人申告登記」です。
この登記は、「私はこの不動産の相続人の一人である」と法務局に申告することで、登記義務をいったん果たしたことにできる制度です。
協議がまとまった後に正式な名義変更登記を行う必要はありますが、期限を過ぎて過料(罰金)を科されることを防ぐためにも、有効な手段といえます。
不動産が絡む相続こそ専門家への相談を
遺産分割協議がまとまらない背景には、財産の分け方だけでなく、心理的な要因や情報不足も大きく関係しています。特に不動産が含まれる場合は、査定額や活用方法をめぐって判断が難しいため、不動産会社や司法書士などの専門家に早めに相談することが重要です。
株式会社あおばでは、沼津市を中心に、相続不動産の売却・活用・名義変更などの相談を承っています。遺産分割協議が進まないまま時間が経つと、問題が複雑化する一方です。少しでも不安を感じたら、まずは現状を整理し、取れる手続きを確認しておくことをおすすめします。
まとめ
遺産分割協議がまとまらないときに重要なのは、
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感情的な対立を避けて冷静に話し合うこと
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第三者(専門家や家庭裁判所)を活用すること
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義務化された登記手続きを放置しないこと
話し合いが長期化しても、「相続人申告登記」を行っておけば最低限の義務は果たせます。そのうえで、正式な相続登記や売却に進むために、早めに専門家へ相談するのが賢明です。


