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相続した不動産、上物(建物)があるけど…
解体するべき?そのまま売るべき?
相続した不動産に建物が残っていた場合、「解体して更地にしてから売るべきか?」「建物を残したまま売った方がいいのか?」という判断に迷われる方は少なくありません。
どちらを選ぶべきかは、不動産の立地や建物の状態、買主のニーズ、税金など、さまざまな要素を考慮して決める必要があります。
今回は「上物ありの土地を売るとき、解体すべきか否か?」をテーマに、判断のポイントや具体的なケースを交えて解説します。
「上物あり」とは?
不動産業界では、土地にまだ建物が残っている状態を「上物(上物)あり」「上屋(うわや)あり」と呼びます。
この建物が老朽化していたり、長年空き家になっていたりすると、「いっそ解体して更地にした方がいいのでは?」と考える方も多いでしょう。
しかし、解体には当然コストがかかり、また必ずしも「更地=売れやすい」とは限りません。
では、どう判断すればいいのでしょうか。
解体すべき場合|更地にした方が売却しやすいケース
① 建物が老朽化しており使用が難しい
築年数が古く、シロアリ被害や雨漏りなどのダメージが大きい建物は、買主にとって「修繕して使う」選択肢が現実的でないことが多いです。
例:築40年の木造住宅で、5年以上空き家状態。内装の傷みも激しい。
→ こうした場合は、建物の資産価値はほぼゼロ、むしろ「解体費がかかる土地」として見られます。
このような物件を売却する際、更地にしておくことで「建築用地」としての魅力を高めることができます。
② 土地の形状や接道条件が良く、建築ニーズが高い
市街地や住宅地で、整形地(四角い土地)や南向きの道路に面しているような土地であれば、更地にすることで新築需要が高まります。
例:駅から徒歩10分、接道4m以上、土地面積40坪以上。
→ 新築住宅を希望する購入希望者が集まりやすく、建物があることで逆に売れにくくなる可能性も。
このような場合は、解体して更地にしてから売ることで、より多くの買い手にアプローチできます。
③ 古家付き土地として売っても売却期間が長期化しそう
「古家付き土地」として販売する選択肢もありますが、購入希望者が限られるため、売却に時間がかかることがあります。
特に地方部などで需要が限られている地域では、解体して用途を明確にしておいた方が買い手がつきやすくなるケースもあります。
解体しない方がよい場合|建物を残して売った方が良いケース
① 建物をリフォーム・再利用できる可能性がある
築年数がある程度新しく、基礎や構造部分がしっかりしている場合は、「中古住宅」としてそのまま住める可能性があります。
例:築20年の木造住宅で、定期的にメンテナンスされていた。生活設備も稼働。
→ 買主が「リフォームして住む」選択をすることができるため、解体は必須ではありません。
このようなケースでは、むしろ建物を残しておいた方が「中古住宅としての価値」が付き、早期売却に繋がることもあります。
② 解体費用が高く、費用対効果が見合わない
建物の構造や立地によっては、解体費用が非常に高額になることがあります。たとえば鉄筋コンクリート造(RC造)の建物や、狭小地で重機が入れないような場所は、解体費用が200~300万円以上かかることも。
例:狭い路地の奥にある2階建てRC造住宅(築30年)。重機搬入不可。
→ 解体費用に加えて残置物撤去費も高額になる可能性があり、売却益が圧縮されるおそれがあります。
このような場合は、「現況渡し(現状のまま売る)」で売り出すことを検討するのもひとつの方法です。
③新築需要が少ない、土地相場の低い地域
地域によっては居住需要が少なく、したがって相場が低いところもあります。その場合、「この価格で建物も手に入るのであれば購入を検討しても良いが、建設費も追加でかかるのであればここに住む選択肢は考えづらい」という判断になることもあります。解体することでそうしたニーズを逃し、販売が長期化するケースもあります。
例:雨漏り等もない築古の戸建で、土地価格が数百万円。
→ 築古なので建物としての価値はないのですが、数百万円で住める物件が手に入る、というのであれば需要が生まれます。
このような場合も、「現況渡し(現状のまま売る)」で売り出すほうが良いと言えるでしょう。
④ 固定資産税の軽減措置が失われる
土地に住宅が建っている場合、「住宅用地の特例」が適用され、土地の固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。
解体して更地にすると、この軽減措置がなくなり、翌年度以降の固定資産税が大幅に上がることになります。
例:今すぐに売却できる見込みがないが、とりあえず更地にしてしまった。
→ 売却までに数年かかれば、その間の固定資産税負担が重くなってしまいます。
判断のポイント
1. 建物の価値を見極める
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築年数
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傷み具合
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リフォーム歴
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設備の動作状況
築30年以上で空き家期間が長いなど、リフォームコストが高くなるようであれば基本的には解体を検討。
逆に、10〜20年程度で良好な状態なら残す価値あり。
2. 売却エリアの需要を調べる
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「中古住宅としての需要」があるか?
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「建築用地としての需要」が強いか?
駅近や住宅街では新築需要が高く、更地が有利。地方や郊外では、古家付きでも「住める」状態の方が買い手が見つかりやすい。
3. 解体費用と売却予想価格のバランスを見る
解体費用をかけて価格が上がるのか、それともトータルで損をするのか。
不動産会社に相談して、査定額を「古家付き」と「更地想定」の両方で出してもらうのがおすすめです。
迷ったらプロに相談を
不動産を相続したとき、上物を「解体するかどうか」は、その土地の特性や建物の状態、地域のニーズに大きく左右されます。
解体にはお金がかかりますが、それが結果として高く・早く売れるなら有効です。逆に、無駄な解体で損をすることもあり得ます。
素人判断が難しい部分だからこそ、不動産会社に査定を依頼し、複数のパターンで売却価格を出してもらうことが大切です。
株式会社あおばでは、お客様の物件の特性やご希望に応じて、最適な売却方法をご提案しております。お気軽にご相談ください。